山道を下って黄金瀑布に到着したと思ったら今度はながーくゆるーい上り坂。
息を切らしながら坂を上りきると「天空之城 十三層遺址」という金の採掘鉱山の廃墟に到着。
廃墟に到着する直前、道の傍らにしゃがんで熱心にスマホで写真を撮っている若い女性がいて、その先の廃墟へ進むと海を見渡せる展望台。
インスタバエする観光地のようで、廃墟の周りには若いカップルや家族連れがちらほら。
みんな写真を撮っていた。
手元のマップアプリを見てみると、近くに廃墟全体を見渡せる展望台を発見。
山を下るついでに展望台を目指す。
下り坂はかなり急で、できるだけ負荷をかけないように左ひざの爆弾を気にしながら歩いていたら、熱心にスマホで写真を撮っていた若い女性がなかなかのスピードでおじさん二人組を追い越していく。
道は一本なので、「若いっていいね」「ひざの爆弾がー」「山道険しくね?」とか言いながら一定の間隔を保ちながら女性の後をついていくような位置関係でしばらく進む。
女性の姿が見えなくなりそうな急な曲がり角付近になると、女性は絶妙に減速して間隔が詰まって姿が見えなくなることがない。こちらに視線を向けているような気もする。
「先導してくれてんのかな?」「外国人のおっさんに優しくしてくれるできた娘さんには飴ちゃんを」「いきなり大声で『おっさんがついてくるー!』って叫ばれたらどうする?」「異国で警察沙汰in台湾」とか言いながらそのまま女性の後を進む。
しばらく何もない山道を進むとポツポツと建物が見え始めてそのまま道なりに進むと集落の中へ。
何も知らないと入るのを躊躇ってしまうような個人宅の駐車場のようなところにある細い階段の下で、ついに女性がハッキリとこちらを向いて階段の上を指した。
「オッケー」「サンキュー」「シェイシェイ」とこたえると、女性は階段を駆け上がっていき、あっという間に姿が見えなくなった。
階段を下から見上げると、細くてながーくて終着地点が見えなくてため息をひとつ。山道を歩いてすでにプルプル震える脚に力を込めて無心で階段を上る。
途中で杖をついてゆっくり階段を上るご老人を追い抜いて展望台にたどり着くと、広がる絶景に言葉にならない声が漏れる。
展望台の柵に乗ってスマホで写真を撮っていた女性がにっこりと微笑んでくれた。息を切らしながら絞り出した「サンキュー」。
(写真4枚目:道案内をしてくれた女性)